食品業界ではいま、HACCP(ハサップ)の導入がすべての事業者に義務化されています。
しかし、「そもそもHACCPとは何か?」「なぜ導入しなければならないのか?」「中小企業や飲食店ではどのように対応すればよいのか?」――こうした疑問を持つ事業者も少なくありません。
本記事では、厚生労働省や農林水産省などの公的情報をもとに、HACCPの基本から制度化の背景、7原則12手順、運用の実例までをわかりやすく解説します。
さらに、デジタルツールを活用した効率的な運用方法や、義務化に対応しながら企業価値を高めるポイントも紹介します。
HACCP対応をこれから始める方も、すでに導入済みで改善を目指す方も、この記事を通じて失敗しないHACCP運用方法を理解しましょう。
HACCP(ハサップ)の基本と目的
HACCPとは
HACCP(ハサップ)とは、「Hazard Analysis and Critical Control Point(危害要因分析・重要管理点)」の略で、食品の安全性を確保するための国際的な衛生管理手法です。日本語では「危害分析重要管理点」と訳され、食品の製造・調理・流通などのすべての工程において、食中毒菌汚染や異物混入といった危害要因を科学的根拠に基づいて管理することを目的としています。
従来の抜き取り検査は、製品の一部をサンプルとして確認するため、全体の安全性を完全に保証することはできませんでした。これに対しHACCPでは、原材料の受け入れから製造・加工・出荷までの全工程を対象に、危害が発生しうる要因を分析し、特に重要な工程(CCP:Critical Control Point)を定めて継続的に監視・記録します。この方法により、異常が発生する前に対応できる「予防型の衛生管理」を実現します。
HACCPの起源は、1960年代にNASAが宇宙食の安全確保のために採用した管理方式にあります。その後、FAO(国連食糧農業機関)とWHO(世界保健機関)が設立したコーデックス委員会が1993年にHACCPを国際標準として採択。これにより、世界各国でHACCPが食品安全の基準として導入されるようになりました。
日本でも2018年に食品衛生法が改正され、2021年6月からすべての食品関連事業者にHACCPの導入が義務化されています。
さらに、HACCPの導入は、単に法令遵守のためだけではありません。企業にとっては食品事故リスクの低減、従業員の衛生意識向上、取引信頼性の向上、国際競争力の強化など、経営的にも大きなメリットがあります。輸出事業を行う際も、HACCPへの対応は国際取引の前提条件となっており、企業価値を高める上で欠かせない仕組みです。
参考・出典
厚生労働省「HACCPに沿った衛生管理の制度化」
公益社団法人日本食品衛生協会「HACCPによる衛生管理とは」
HACCPとは何を意味するのか?
HACCPの仕組みは、「Hazard Analysis(危害要因分析)」と「Critical Control Point(重要管理点)」という2つの考え方で成り立っています。
「危害要因分析(HA)」とは、食品の製造や調理の過程で起こりうる危険をあらかじめ洗い出すことを指します。たとえば、食中毒菌などの「生物的要因」、残留農薬や洗浄剤などの「化学的要因」、金属片やガラス片などの「物理的要因」などです。これらの危険を一つひとつ想定し、どの工程で発生しやすいかを科学的に分析します。
「重要管理点(CCP)」とは、分析の結果見つかった危害要因を確実に除去・抑制するために特に注意が必要な工程を指します。たとえば、「加熱温度を一定以上に保つ」「冷却時間を管理する」といった具体的な基準を設定し、実際の作業中に温度や時間を継続的にチェックして記録します。もし基準から外れた場合は、すぐに是正措置を取る仕組みを設けます。
このように、HACCPは「危険を後から見つける」のではなく、あらかじめ危険を予測して防ぐという考え方に基づいています。
科学的データに基づいた管理と記録の徹底により、食品事故を未然に防ぎ、消費者に安心・安全な食品を提供することができるのです。
HACCPは、世界中の食品業界で信頼される「予防型の衛生管理システム」として広く採用されています。
参考・出典
厚生労働省「HACCPとは」
公益社団法人日本食品衛生協会「HACCPによる衛生管理とは」
なぜHACCPは国際基準として導入されたのか?
HACCPが国際基準として導入された背景には、食品流通の国際化と安全性確保の必要性があります。
20世紀後半、輸出入食品が急増する中で、国ごとに異なる衛生基準が貿易上の障害となっていました。そこで、FAOとWHOが設立したコーデックス委員会が1993年に「HACCPの7原則12手順」を定め、世界共通の食品安全基準として採用しました。
これにより、HACCPは「国際的に信頼される衛生管理の指標」として位置づけられるようになったのです。
アメリカでは1997年に水産・食肉製品にHACCPが義務化され、EUでは2006年に全食品事業者に完全適用されました。日本でも1995年に「総合衛生管理製造過程(マル総)」制度が導入されましたが、中小企業では普及が進まず、2018年の食品衛生法改正を契機にすべての食品関連事業者へ義務化が実現、2021年6月に完全施行となりました。
HACCPが評価される理由は、科学的根拠に基づいた予防的衛生管理にあります。従来の抜き取り検査とは異なり、製造工程のすべてでリスクを可視化し、異常を検知した段階で即時対応が可能です。
また、導入により品質の均一化や社員教育の強化、事故対応の迅速化など、経営面でも多くの効果が確認されています。結果として、HACCPは「安全な食品供給の基盤」であると同時に、企業の信頼性と国際競争力を高める重要な仕組みといえるでしょう。
参考・出典
農林水産省「食品業界の信頼性向上に向けた取組」
東京都「HACCPに沿った衛生管理の制度化」
食品衛生法に基づくHACCP義務化
食品衛生法改正でHACCPはいつ義務化されたのか?
HACCPの義務化は、2018年(平成30年)6月の食品衛生法改正によって決定されました。この改正法は、食品の安全性をより確実に確保するため、すべての食品関連事業者にHACCPに沿った衛生管理を求める内容を盛り込んだものです。
実際の施行は2020年6月1日から開始され、さらに1年間の経過措置期間を経て、2021年6月1日に完全義務化されました。つまり、現在では原則として全国すべての食品事業者がHACCP対応を行わなければなりません。
この法改正は、従来の抜き取り検査による品質確認では防ぎきれない食中毒や異物混入のリスクを減らすために導入されました。国際的にもHACCPは食品安全の標準手法であり、日本の制度を世界基準に合わせる目的もありました。
厚生労働省はこの改正を通じて、「食品衛生管理の国際的整合性」と「中小企業を含めた国内全体の衛生水準向上」を目指したのです。
参考・出典
厚生労働省「HACCPに沿った衛生管理の制度化」
どの事業者がHACCP義務化の対象になるのか?
HACCPの義務化は、食品を扱うすべての事業者が基本的に対象です。食品の製造・加工・調理・販売を行う企業や店舗、つまり食品産業全体に適用されます。
ただし、事業規模や業種に応じて、実施すべき管理の内容は2つの区分に分かれています。
HACCPに基づく衛生管理
→ 食品製造工場、大規模飲食店、と畜場、食鳥処理場など。
国際的な基準(7原則12手順)に沿って、工程ごとの危害要因分析・管理・記録を実施します。
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理
→ 小規模な飲食店、惣菜・パン製造業、学校や病院以外の給食施設など。
各業界団体が作成した「手引書」に基づき、簡略化された管理手法で実施します。
一方で、常温で長期間保存できる包装食品のみを販売する事業者や、器具容器包装の輸入業などは、公衆衛生への影響が少ないため、HACCP義務化の対象外です。ただし、一般衛生管理の実施は必要です。
参考・出典
厚生労働省「HACCPに沿った衛生管理の制度化」
東京都福祉保健局「HACCPに沿った衛生管理の制度化について」
HACCPを怠った場合、罰則やリスクはあるのか?
HACCPの導入・運用を怠った場合、食品衛生法に基づく行政指導や罰則の対象となる可能性があります。
食品衛生法第51条では、事業者に対し「施設の衛生的な管理や食品衛生上の危害防止のために必要な措置」を講じることを義務づけています。これに違反し、改善命令に従わない場合には、営業停止処分や営業許可の取り消しなどの行政処分が科されることがあります。
さらに、悪質なケースでは刑事罰が適用されることもあります。食品衛生法第72条では、三年以下の懲役または三百万円以下の罰金が科される可能性があると定められています(法人の場合は両罰規定により、法人にも罰金刑が課される場合があります)。
これらは、HACCP未実施そのものではなく、「衛生管理の不備によって保健所の指導に従わない」「危険な食品を製造・販売した」といった重大な違反行為があった場合に適用されます。
しかし、法的な罰則以上に深刻なのは、企業ブランドの信頼低下や取引停止などの社会的リスクです。食中毒や異物混入などの事故が起きれば、行政指導に加えてメディア報道やSNSでの拡散により、企業の信用は一気に失われます。
また、取引先や輸出先ではHACCP準拠を前提とすることが一般的であり、未導入企業は商取引の機会を失うこともあります。つまり、HACCPは「法令遵守のため」だけではなく、企業の信頼と存続を守るためのリスクマネジメントでもあります。
厚生労働省も「衛生管理の不備は社会的信頼の喪失に直結する」と明記しており、HACCPへの対応は全ての事業者にとって不可欠です。
参考・出典
HACCPの7原則12手順とは
危害要因分析(HA)とは何をするのか?
危害要因分析(HA:Hazard Analysis)とは、食品の製造・調理・出荷までの全工程において、食品の安全を脅かす可能性のある要因を科学的に洗い出す作業です。
分析する危害要因は大きく3つに分類されます。
生物的要因:細菌・ウイルス・カビなどの微生物汚染
化学的要因:農薬・洗浄剤・食品添加物などの残留物
物理的要因:金属片・ガラス片・異物の混入
これらを工程ごとに特定し、発生の可能性と影響の大きさを評価します。
このプロセスにより、「どこで」「どのような危害が」「どの程度起こり得るのか」を明確化し、以降の管理手順(CCP設定や基準づくり)の基礎となります。
正確なHAは、HACCP運用の成否を左右する最も重要なステップです。
参考・出典
公益社団法人日本食品衛生協会「HACCPによる衛生管理とは」
厚生労働省「食品製造におけるHACCP入門のための手引書」
重要管理点(CCP)はどう決定するのか?
重要管理点(CCP:Critical Control Point)とは、食品の安全性を守るうえで最も重要な工程を指します。危害要因分析で特定したリスクを、どの工程で除去または許容できるレベルまで抑えられるかを判断し、その工程をCCPとして設定します。
たとえば、中心温度を一定以上に保つ「加熱殺菌」や、金属検出機を用いた「異物除去」などが代表例です。
CCPを決める際は、決定系統樹(Decision Tree)と呼ばれる質問型の手法を用い、客観的かつ再現性のある基準で選定します。これにより、重要な工程を過不足なく管理できるようになり、リスクを最小限に抑えた工程管理が可能になります。
CCPの設定は、HACCPシステム全体の信頼性を左右する極めて重要な工程です。
参考・出典
厚生労働省「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」
管理基準・モニタリング・改善措置はどのように行うのか?
重要管理点(CCP)を決定したあとは、安全性を維持するための「管理基準(Critical Limit:CL)」を数値で設定します。
たとえば、「加熱温度75℃以上を1分間維持」「冷却温度10℃以下」など、科学的根拠に基づいた具体的な基準を定めます。この基準値を守ることで、危害要因を確実に低減・除去できることが科学的に証明されます。
次に行うのがモニタリング(監視)です。
設定した管理基準が守られているかを、温度計やタイマー、センサー、または作業員の記録によって確認します。モニタリングは、異常が発生した際に迅速に対応できるよう、継続的かつ記録を残す形で実施することが求められます。
もし管理基準を逸脱した場合には、是正措置(Corrective Action)を講じます。
たとえば、不適合品の再加熱・廃棄、原因の特定、再発防止策の策定などが行われます。 また、これらの手順が適切に機能しているかを確認するために検証(Verification)を定期的に実施し、必要に応じてHACCP計画を見直します。
これら一連の流れ(管理基準設定 → 監視 → 改善 → 検証 → 記録)は、厚生労働省が定める「HACCPに沿った衛生管理」の中核です。記録の保存と継続的改善こそが、食品安全を支える信頼の証となります。
参考・出典
厚生労働省「HACCPに沿った衛生管理の制度化」
HACCPの考え方を取り入れた衛生管理
多店舗展開企業にはどのように導入されているのか?
多店舗展開している外食チェーンや食品販売企業では、「HACCPに基づく衛生管理」を全店舗で標準化し、デジタルツールで一元管理するケースが増えています。
各店舗が異なるマニュアルで運用していた従来の方式では、衛生レベルにばらつきが生じやすく、監査対応にも時間がかかっていました。
しかし現在では、クラウドシステムやタブレットを活用して温度・清掃記録・食材管理をリアルタイムに共有し、「誰が・いつ・どのように」実施したかを可視化する企業が増加しています。
また、本部ではHACCPの7原則をベースにした共通の衛生管理計画を策定し、各店舗が日常業務の中で実践できるよう簡略化したチェックリスト形式に落とし込むのが一般的です。
この方法により、従業員の衛生意識を統一しながら、監査や保健所対応にも迅速に対応できる仕組みが構築されています。
デジタル化と教育の両輪によって、全国規模での一貫した食品安全管理体制が実現しているのです。
参考・出典
厚生労働省「HACCPに沿った衛生管理の制度化」
農林水産省「食品業界の信頼性向上に向けた取組」
小規模展開企業ではどのように運用すればよいのか?
飲食店や惣菜店などの小規模事業者では、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理(簡易HACCP)」の導入が求められています。
これは、厚生労働省が内容を確認した各業界団体の「手引書」に沿って行う方式で、一般的な衛生管理と重要管理の2つを中心に構成されています。
たとえば、原材料の受け入れ・保管・加熱・提供までの流れを整理し、「どの工程で何に注意すべきか」をシートにまとめて記録する仕組みです。
重要なのは、無理なく継続できるレベルで実施すること。紙やエクセル・クラウドシステムなどを活用して衛生管理記録を残し、毎日振り返りを行えば十分に効果があります。
また、自治体の保健所では無料相談や導入サポートを行っており、現場に合わせた運用方法の助言も受けられます。
小規模店舗では「従業員教育」と「習慣化」が鍵です。日々の記録を通して衛生意識を高めることで、法令遵守だけでなく顧客からの信頼向上にも直結します。
HACCPは規模にかかわらず、食品安全を守る“最低限の共通ルール”なのです。
参考・出典
東京都福祉保健局「HACCPに沿った衛生管理の制度化について」
大手チェーンが直面するHACCP運用の課題
店舗ごとに運用の粒度が違うと何が問題になるのか?
大手チェーンでは、同じマニュアルを共有していても、店舗ごとにHACCP運用の粒度(管理の細かさ)が異なることが課題になります。
店舗によっては温度記録を1日1回だけ行う一方で、別の店舗では1時間ごとに測定しているなど、記録・点検の頻度や方法が統一されていないケースが多いのです。
この差が生まれると、全社的な衛生水準の把握が困難になり、万一の事故時に「どの店舗で、どの工程に問題があったのか」を正確に特定できなくなります。
HACCPは工程管理の一貫性が命であり、店舗ごとに運用基準がずれることはリスクそのものです。本部による標準化とモニタリング体制の整備が欠かせません。
参考・出典
厚生労働省「HACCPに沿った衛生管理の制度化」
紙やExcelでの記録管理にどんな限界があるのか?
HACCPの実施では、温度管理や清掃、点検の記録を残すことが必須ですが、紙やExcelによる管理には限界があります。
まず、手書きや手入力では記録ミスや漏れが発生しやすく、データ改ざんや紛失のリスクも伴います。さらに、各店舗で記録フォーマットが異なる場合、本部が全店舗のデータを集約・分析するのに膨大な時間とコストがかかります。
結果として、「実際に現場がどこまで衛生基準を守っているのか」がリアルタイムで把握できません。
この課題を解決するため、多くの大手チェーンではデジタル化・クラウド化によるHACCP管理が進んでいます。
温度センサーによる自動記録や、タブレットでの衛生チェック入力、クラウド共有などを導入することで、ヒューマンエラーを防ぎ、全店舗の衛生状況を一元管理できます。また、データの自動収集と可視化により、監査対応や改善報告の高速化が可能です。
HACCPの本質である「科学的かつ継続的な衛生管理」を確実に実行するためには、アナログからデジタルへの転換が不可欠なのです。
参考・出典
農林水産省「食品業界の信頼性向上に向けた取組」
ISOやFSSCに対応するために必要なことは何か?
大手チェーン企業では、国内法令のHACCP対応に加えて、国際規格であるISO 22000やFSSC 22000への準拠を求められるケースが増えています。これらの国際規格は、HACCPの7原則をベースにしながらも、経営マネジメントシステムやリスクベース思考を統合した包括的な仕組みです。
つまり、現場の衛生管理だけでなく、組織全体の品質保証体制や従業員教育、内部監査までを一貫して管理することが求められます。
具体的には、次のような体制づくりが必要です。
・HACCP文書体系の整備(手順書・記録様式・検証報告などの標準化)
・教育訓練の定期実施(衛生担当者・現場従業員・管理職のすべてが理解する)
・内部監査と外部審査への対応力強化(データ証跡の即時提示・改善サイクルの確立)
さらに、ISOやFSSCでは「フードディフェンス(食品防御)」や「フードフラウド(食品偽装防止)」も求められます。
このため、入退室管理や監視カメラ、AIによる異常検知などIT技術を取り入れたセキュリティ強化が効果的です。
グローバルな取引先との信頼を築くには、HACCP運用を国際水準に高めることが必須条件です。法令対応にとどまらず、ISO・FSSCを通じて継続的改善(PDCA)を実践することが、食品企業のブランド価値向上につながります。
参考・出典
FSSC Foundation「What is FSSC 22000」
農林水産省「食品業界の信頼性向上に向けた取組」
日本食品衛生協会「HACCPによる衛生管理とは」
中小企業が直面するHACCP運用課題
紙のチェックシート管理はなぜ煩雑になるのか?
中小規模の食品事業者では、HACCPの衛生管理を紙のチェックシートで運用しているケースが依然として多く見られます。しかし、この方法には大きな課題があります。
まず、毎日の記録項目が多く、手書きによる入力ミスや漏れが起きやすい点。さらに、店舗ごとにシート形式が異なると、集計・保管・確認作業に時間がかかります。
また、保管期間(原則1年以上)を過ぎた書類の整理・廃棄も手間となり、紙の管理は人手・時間・スペースを圧迫します。
小規模企業ほど担当者が限られるため、チェックの形骸化や更新遅延が発生しやすいのです。
このような理由から、デジタル化による記録の自動保存・共有が課題解決の鍵とされています。
参考・出典
厚生労働省「HACCPに沿った衛生管理の制度化」
現場で記入漏れや改ざんが起きるリスクはあるのか?
紙やExcelでの手書き記録には、人為的なミスや改ざんリスクが潜んでいます。
現場が忙しい時間帯には、記録を後回しにして「まとめ書き」を行うケースが少なくありません。この場合、温度や衛生状態の正確な記録が残らず、異常が起きた際に原因を特定できなくなります。
また、記録の抜けや修正が生じた場合、監査時に信頼性が低いと判断される恐れもあります。
HACCPでは、実施記録がそのまま「証拠資料」となるため、記録の正確性・即時性が極めて重要です。近年は、デジタル温度計の自動記録やクラウド管理ツールを導入し、データ改ざん防止やリアルタイム共有を図る中小企業も増えています。
「ヒューマンエラーを減らす仕組み」こそ、HACCP定着の第一歩です。
参考・出典
厚生労働省「HACCPに沿った衛生管理の制度化」
公益社団法人日本食品衛生協会「HACCPによる衛生管理とは」
保健所巡回にどう備えればよいのか?
保健所によるHACCPの実施状況確認(巡回指導)は、営業許可更新時や定期監査時に必ず行われるものです。特別な準備をする必要はありませんが、重要なのは「日常的に管理ができているか」を見られる点です。
確認のポイントは、下記の3点です。
①衛生管理計画が作成されているか
②実施・記録が継続されているか
③記録の保存期間が守られているか
紙やExcelであっても、計画書と実施記録が整然と保管されていれば問題ありません。ただし、指摘事項が出た場合は、改善内容を記録・報告することが求められます。
自治体によっては、巡回前に「自主点検表」を配布しており、事前にセルフチェックしておくとスムーズです。
日々の実践が最も重要であり、「準備するHACCP」ではなく「運用し続けるHACCP」が評価されます。この点も多くの企業がクラウドシステムの導入を進める理由のひとつです。
参考・出典
厚生労働省「HACCPに沿った衛生管理の制度化」
東京都福祉保健局「HACCPに沿った衛生管理の制度化について」
導入コストと現場負担をどうバランスさせるのか?
中小企業にとって、HACCP導入の最大の壁はコストと現場負担のバランスです。
専用システムや機器を導入すれば効率化が進みますが、初期費用や運用コストが負担になる場合があります。一方、紙や手動での管理は低コストながら、人手と時間がかかり、ミスも発生しやすいのが現実です。
最も重要なのは、自社の規模や業種に合った方法を選ぶことです。
厚生労働省は中小事業者向けに「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」を公開しており、これを基に段階的な導入を行うことが推奨されています。また、各自治体では導入補助金や専門家派遣の支援制度も整備されています。
こうした制度を活用することで、負担を最小限に抑えながら実効性のあるHACCP運用が可能です。無理のない範囲から始め、「継続できる仕組み化」こそがHACCP定着の近道といえます
参考・出典
厚生労働省「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書」
中小企業庁「小規模事業者支援施策ガイドブック」
HACCP導入のメリットと企業価値向上
HACCPは食品事故防止にどう役立つのか?
HACCP(ハサップ)は、食品事故の予防に特化した科学的な衛生管理手法です。
従来のように最終製品を抜き取り検査するのではなく、原材料の受け入れから製造・出荷までの全工程を管理することで、異物混入や食中毒のリスクを未然に防ぎます。
特に、危害要因分析(HA)と重要管理点(CCP)の設定により、「どの工程で、どんなリスクが起こるか」を明確にし、加熱温度や冷却時間などをリアルタイムで監視します。
この仕組みにより、異常が起こる前に迅速な是正措置が可能となり、事故の発生率を大幅に低減できます。
HACCPは「後から検査する」仕組みではなく、「起こさないための管理」を行う仕組みなのです。
参考・出典
厚生労働省「HACCPに沿った衛生管理の制度化」
公益社団法人日本食品衛生協会「HACCPによる衛生管理とは」
従業員の衛生意識はどのように変わるのか?
HACCPを導入すると、従業員の衛生意識が指示される管理から「自ら考える管理」へと変化します。
日々の記録やモニタリングを通じて、現場スタッフ一人ひとりが食品安全の重要性を理解し、自主的に衛生管理に取り組むようになります。
また、教育やマニュアル整備によって作業基準が明確化されるため、新人やパートスタッフでも一定の品質を維持できます。
このように、HACCPは「人を育てる衛生管理」としても機能します。
参考・出典
厚生労働省「HACCPに沿った衛生管理の制度化」
取引や販路拡大にどんな効果があるのか?
HACCPの導入は、食品安全を「見える化」することで、取引先や消費者からの信頼を高める効果があります。多くの大手小売業や商社では、取引条件としてHACCP対応を求めており、導入企業は新たな販路拡大のチャンスを得られます。
さらに、輸出を行う際には、国際基準であるHACCP認証がほぼ必須条件となるため、海外市場への参入やブランド力向上にも直結します。衛生管理を担保する仕組みとして、HACCPは企業の「営業力」を高める投資でもあるのです。
参考・出典
農林水産省「食品業界の信頼性向上に向けた取組」
DX化で監査や効率化はどのように進むのか?
近年では、HACCP運用のDX(デジタルトランスフォーメーション)が急速に進んでいます。
従来の紙やExcelでの記録管理では、店舗や工場ごとにバラつきがあり、監査対応にも多くの工数を要していました。しかし、クラウド型HACCPシステムを導入することで、温度データや清掃記録を自動収集・共有し、リアルタイムで管理できるようになります。
これにより、監査時の記録提示もワンクリックで可能となり、保健所や取引先への対応が効率化されます。また、AIによる異常検知やデータ分析を取り入れることで、予防保全や品質改善の精度も向上します。
DX化は単なる効率化ではなく、「食品安全を科学的に保証する仕組み」としてHACCPの信頼性を高める役割を果たしています。
参考・出典
厚生労働省「HACCPに沿った衛生管理の制度化」
HACCPについて、よくある質問(FAQ)
HACCPとはどういう意味ですか?
HACCP(ハサップ)は「危害要因分析・重要管理点」の略で、食品の製造や調理工程で起こる危険を分析し、重要な工程を管理して安全を守る国際的な衛生管理手法です。
(参考:厚生労働省、日本食品衛生協会)
HACCPは義務化されていますか?
はい。HACCPは2021年6月から食品衛生法で完全義務化され、すべての食品事業者に導入が求められています。
規模に応じて「基づく管理」または「考え方を取り入れた管理」を実施します。
(参考:厚生労働省)
HACCPを導入しないとどうなりますか?
未導入の場合、行政指導や営業停止のほか、悪質な場合は食品衛生法により三年以下の懲役または三百万円以下の罰金が科されることもあります。
(参考:厚生労働省、e-Gov)
HACCPとは具体的に何をすればいいですか?
衛生管理計画を作成し、一般衛生管理(手洗い・清掃など)と重要管理(温度・加熱管理など)を実施・記録します。厚労省の「手引書」を参考にできます。
(参考:厚生労働省)
HACCP管理ツールはどのように選べばいいですか?
現場で使いやすく法令に準拠したツールを選びましょう。
温度自動記録や監査対応機能を持つクラウド型が主流で、導入により効率化と信頼性向上が期待できます。
まとめ:最適なHACCP対応を始めましょう
デジタルツールで現場負担をどう減らせるのか?
HACCPの導入・運用は「記録」と「確認」が中心であり、紙管理では作業負担が大きくなります。近年は、温度管理や清掃チェックを自動記録できるクラウド型HACCPシステムが普及し、現場の記入作業を大幅に削減しています。
データが自動保存・共有されるため、監査対応や報告書作成も効率化。デジタル化によって、HACCPの“守るべきルール”を“続けられる仕組み”に変えることが可能です。
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